「当選おめでとう。でも、絶交します」
4月26日。名古屋市長選で河村たかし氏が4期目の当選を決めて一夜明け、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は、朝日新聞の取材にこう語った。
100万筆を目標とし、昨年8月に始まった大村秀章・愛知県知事に対するリコール署名。運動団体の会長に高須氏が就き、河村氏は街頭演説で肩を並べた。
拡大する大村秀章・愛知県知事に対するリコール署名活動をすると表明後、高須克弥氏(左)は河村たかし市長(右)を表敬訪問した。中央は表明の記者会見に同席した百田尚樹氏=2020年6月2日午後、名古屋市役所、小林圭撮影
しかし、署名の偽造が明るみに出たころから、誰がリコールを発案したかをめぐり、2人の言い分は食い違うようになっていた。
「これは何べんも言っとりますよ」。河村氏は「絶交宣言」を受け、高須氏の側からリコールの誘いがあったと改めて主張。仲介したのは、運動団体の事務局長となった元県議の田中孝博容疑者(59)=地方自治法違反(署名偽造)容疑で5月19日に逮捕=と言う。
高須氏は、河村氏が「リコールしようと思うが、手伝ってくれるか」と尋ねてきた、としている。「間違いない。信用できない人とは絶交します」と話す。
どちらが発案したのか。真相ははっきりしない。
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多数のアルバイトを動員した「書き写し」は佐賀県青年会館で行われた。事情を知らないまま、バイトとして加わった40代男性によると、監督にあたった複数の人物は「急いで書いて」と繰り返したという。
拡大するアルバイトが署名を書き写した佐賀県青年会館=2021年2月24日、佐賀市、宮野拓也撮影
事務局長が示した「領収書」
愛知県まで運ばれた署名簿は、どうなったのか。
逮捕前の朝日新聞の取材に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル